当院では、糖尿病・高血圧・脂質異常症・高尿酸血症などの生活習慣病についての診療も行っております。
「生活習慣病」とは、食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒など生活習慣が、発症・進行に関与する疾患群です。しかし、生活習慣病の発症には、生活習慣だけでなく遺伝的要因や社会環境要因などの複数の要因が影響します。
「生活習慣病」は生活習慣が悪いから発症するとは限りません。
代表的には以下のような疾患があります。
高血圧の診断では、病院で測る診察室血圧と自宅で測る家庭血圧を確認することが望ましいです。
高血圧の基準は家庭血圧で 135/85mmHg 以上、診察室血圧では 140/90mmHg 以上とされています。
血圧は1日の中でも変動しますし、測定時の行動や、状態などによっても異なってきます。
起床時と寝る前の毎日決まった時間帯に測定することを推奨しています。
高血圧と診断される場合は一度受診することをお勧めします。
高血圧の治療は、生活習慣の改善と薬物療法が主な治療法となります。
高血圧の症状は?
頭痛や肩こりとしてあらわれることもありますが、自覚症状がないことが一般的です。そのため高血圧症は、「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」とも呼ばれています。多くの方は、血圧を測定するのは年1回の健康診断くらいだとは思いますが、定期的に血圧を測る習慣を身につけることが早期発見の鍵になると言えます。そして、「血圧が高いな」と思ったら早めにクリニックを受診することをお勧め致します。
高血圧を放っておくと?
治療の目的は?
高血圧による動脈硬化の予防と、臓器障害の進行の予防です。
まずは、受診し、相談しましょう。
本態性高血圧と二次性高血圧とは?
高血圧の原因は1.本態性高血圧と2.二次性高血圧の2つに分類されます。
なぜ「朝」の血圧測定が大事?
朝に血圧が高いことを「早朝高血圧」と呼び、動脈硬化や脳梗塞・脳出血などのリスクを上げると言われています。
そのため、朝の血圧をしっかり把握しておくことが治療の上でも重要になってきます。
当院では血圧手帳をお渡しし、家庭血圧を測定することを推奨しており、外来にて血圧の推移をチェックしています。
高血圧ではなぜ腎臓が悪くなるの?
高血圧は「沈黙の病気」と呼ばれ、症状がないまま進行していきます。特に注意が必要なのが腎臓です。
高血圧の状態が長く続くと、腎臓の細い血管に強い負担がかかり、少しずつ傷んでしまいます。
すると、ろ過機能が低下し、慢性腎臓病(CKD)や腎不全へと進行することがあります。
一度悪くなった腎臓の働きを元に戻すことは難しいため、血圧をコントロールして腎臓を守ることがとても重要です。
当院では、高血圧の治療だけでなく、腎臓の状態を確認する検査(血液検査・尿検査)も行い、早期発見と進行予防に力を入れています。
薬以外の治療は?
なお、急な運動療法は危険な場合がありますので医師と相談してから行いましょう。
高血圧の予防法は?
(※)果物に含まれる糖分やカリウムなど、一定の制限が必要となることもありますので、お気軽にご相談ください。
高血圧の食事療法における塩分摂取量は、男女共に1日6g未満が目標です。
日本人の平均摂取量が10g前後なので、慣れないうちは少し厳しく感じるかもしれません。
塩分を摂りすぎると体内に水分が溜まり、血液量が増えて血圧が上昇するほか、血管が収縮することも血圧上昇の理由です。
減塩には、加工食品や外食を控える、だしの旨味や香辛料、香味野菜を活用する、野菜や果物、海藻類を積極的に摂るなどが効果的です。
血圧降下作用のある栄養素の代表はカリウムです。
カリウムは野菜、果物、海藻類、豆類などに豊富に含まれています。
代表的な食品には、ほうれん草、バナナ、アボカド、納豆、昆布などがあります。
腎機能に問題がある場合はカリウムの摂取に注意が必要なため、必ず医師に相談してください。
インスリン(膵臓から分泌されるホルモン)の分泌量が減少する、あるいは分泌されているにも関わらず血糖降下作用が十分に発揮されなくなった結果、血糖値が高い状態が糖尿病です。
免疫の異常などにより膵臓の細胞が破壊されてインスリンが作られなくなる「1型糖尿病」と、インスリンは作られていても、量が不足したり、うまく働かなかったりするために血糖が高くなる「2型糖尿病」があります。
多くの方が「2型糖尿病」に該当します。
食べ過ぎ、運動不足、ストレス、加齢などが「2型糖尿病」の原因となりますが遺伝的な影響もございます。
血糖値が高い状態が持続するようになると、血管がダメージを受けるようになり、動脈硬化にもとづく様々な病気が引き起こされるようになります。
目・腎臓・神経など全身の様々な臓器に障害(合併症)をもたらします(細小血管障害)。
また、血圧やコレステロールが高い状態もあると、それらが複合して血管の動脈硬化が早く進み、心筋梗塞や脳卒中を起こす危険が高くなります(大血管障害)
そのため、高血糖が確認された場合には、早期に生活習慣の見直し、必要に応じて薬物療法を受けて血糖値をコントロールすることで、動脈硬化の進行を抑制することが重要となります。
糖尿病の治療は、生活習慣の改善と薬物療法が主な治療法となります。
脂質異常症とは、LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪など、血中の脂質濃度が慢性的に高い状態、もしくはHDL(善玉)コレステロールが少ない状態をいいます。
脂質異常症の基準値として、LDLが140以上、中性脂肪が150以上、HDLが40以下があります。
自覚症状がないことが多く、血液検査や健康診断で指摘されて分かることが多いです。
コレステロールが高い状態が続くと血管が狭くなったり、詰まる原因となります。その結果、脳梗塞や心筋梗塞が発症することもあります。
脂質異常症の治療は、生活習慣の改善と薬物療法が主な治療法となります。
放置するとどうなる?
自覚症状はありませんが、放置すると動脈硬化が進みます。
血管にプラークが付着し、血管が狭くなり、弾力が低下します。
その結果、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まり、要介護になるような大きな症状に見舞われるリスクがあります。
自覚が難しい脂質異常症ですが、血液検査の数値で判断できますので、放置してより大きな症状を招くことのないよう、医療機関に相談し、適切な治療を受けることが肝要です。
治療目標は?
現在、動脈硬化を進ませないための数値目標が設定されいます。
基本的にHDLコレステロールは40mg/dl以上、中性脂肪は150mg/dl以下を目標とします。
LDLコレステロールに関しては患者様のリスク(年齢、持病など)によって設定する目標が変わってきます。
狭心症や心筋梗塞と既に診断されている方は、再発予防のためLDLコレステロール100mg/dl未満が目標となります。「lower is better」と言われています。
心筋梗塞等はなく、糖尿病、慢性腎臓病、末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化性)のいずれかがある人は、冠動脈疾患死亡高リスク群に分類され、LDLコレステロール120mg/dl未満を目標にします。
高リスクとなる疾患がない人は、性別・年齢・喫煙状況・収縮期血圧から点数化し、冠動脈疾患死亡リスクが2%以上ならばLDLコレステロール120mg/dl未満、リスクが0.5~2%であるならばLDLコレステロール140mg/dl未満、リスクが0.5%未満であるならばLDLコレステロール160mg/dl未満を目標値としていきます。
家族性高コレステロール血症とは?
家族性高コレステロール血症は、遺伝的にコレステロールが高い病気です。
LDLコレステロールが非常に高く(>180mg/dLで疑い)、食事療法や運動療法も効果が乏しく、動脈硬化が進んで心筋梗塞を発症しやすいため、治療を急ぐ必要があります。
治療薬は、ほかの脂質異常症と同様ですが、それでも効果がない場合は機械的にコレステロールを除去する治療法もあります。
また、最近ではPCSK9阻害薬やMTP阻害薬といった新しい薬剤も選択可能ですので、一度ご相談ください。
高尿酸血症とは、からだの新陳代謝で発生する老廃物である「尿酸」が増え過ぎている状態です。
尿酸値が7mg/dl以上になると高尿酸血症と診断されます。
9mg/dl以上もしくは8mg/dl以上で合併症(腎障害・高血圧・糖尿病・肥満など)を伴うものについては薬物療法を含む治療が望まれます。
治療している場合,尿酸値は6mg/dl以下を目安にコントロールします。
高尿酸血症のために体内で結晶化した尿酸は、関節や腎臓などに溜まります。関節に溜まった尿酸の結晶が痛風発作の原因となります。足の付け根に痛みが出ることが多いです。疼痛のコントロール後は高尿酸血症の治療が必要となることが多いです。
高尿酸血症の状態が続くと、痛風発作の再発、腎臓中の尿酸結晶が原因で腎臓病になったり、尿路結石ができたりといった、さまざまな合併症が起こります。
食事療法として、尿酸の元となるプリン体を多く含む食品(レバー鶏卵、魚卵類、ビールなど)の摂取を控え、バランスの良い食事をとる必要があります。
薬物療法としては、尿酸の生成を抑制する薬や、尿酸の排泄を促す薬などが処方されます。
これらの疾患は自覚症状が出にくいため、気づかないうちに進行し、動脈硬化が進行すると脳卒中や心筋梗塞など重篤な疾患や肝機能障害、腎機能障害などの合併症を引き起こすことがあります。
心配ごとがありましたらご相談ください。